- Blog記事一覧 -【高齢者に多い骨折】腰椎圧迫骨折ってなに?~症状・原因・治療~
年齢を重ねると、思わぬ転倒やちょっとした動作で骨折してしまうことがあります。その中でも「高齢者の4大骨折」と呼ばれるものがあります。
この4つは
の4種類で、特に高齢者に多くみられる骨折です。
今回はその中でも、腰椎圧迫骨折(ようついあっぱくこっせつ)について、できるだけわかりやすく解説していきます。
腰椎圧迫骨折とは、腰の背骨がつぶれるようにして骨折してしまうことです。
腰椎(ようつい)というのは、背骨の腰の部分のことです。背骨は「椎体(ついたい)」という小さな骨がいくつも積み重なってできていますが、そのうちの1つが潰れてしまうように変形します。
この骨折は、強く転んだときだけでなく、くしゃみをしたり、重い物を持ったり、ただ立ち上がったりしただけで起こることもあります。
特に骨がもろくなる「骨粗しょう症(こつそしょうしょう)」のある高齢者に多く見られます。
腰椎圧迫骨折の主な症状は、以下のようなものがあります。
特に「転んだ記憶はないのに、腰が痛い」というケースでは、この骨折が起きていることもあります。
一番多い原因は骨粗しょう症です。これは、加齢などで骨の中がスカスカになり、骨がもろくなる病気です。
高齢になると、特に女性では骨密度(骨の強さ)が低下しやすくなります。閉経後は女性ホルモンが減ることが影響し、骨が弱くなってしまうためです。
そして骨が弱っていると、ちょっとした衝撃や負担でも骨が潰れるようにして折れてしまうのです。
たとえば…
転んで尻もちをついたとき
重たい荷物を持ち上げたとき
咳やくしゃみをしたとき
このような場面でも、骨折が起きることがあります。
まずは病院での診察とレントゲン(X線)検査が基本になります。
痛みの場所や経過を聞いたあと、背中や腰を押して痛みが出るか確認します。そのうえで、X線を撮ると、椎体の潰れがわかります。
ただし、骨折したばかりだとX線ではわかりにくいこともあるため、MRI検査を行うこともあります。MRIでは骨の中の状態がよく見えるため、新しい骨折か、昔の古い骨折かの区別もできます。
多くの腰椎圧迫骨折は、手術をしなくても治せる骨折です。
保存療法(手術なし)
通常、痛みは数週間~1か月ほどで落ち着いてくることが多いです。
手術が必要な場合
こうしたときは、骨セメントを入れる治療(BKP:バルーン椎体形成術など)や、金属の器具で固定する手術が行われることもあります。
腰椎圧迫骨折を放置してしまうと、以下のようなことが起きる可能性があります。
そのため、早期発見・早期治療がとても大切です。
腰椎圧迫骨折を一度起こすと、次の骨折が起こりやすくなることがわかっています。日本骨粗鬆症学会では、以下のような対策が重要とされています。
腰椎圧迫骨折は、高齢の方にとって身近で、けっして珍しい骨折ではありません。「転んでないのに腰が痛い」「背中が急に曲がってきた」といった症状があるときは、早めに病院で診てもらうことが大切です。
また、骨折の治療だけでなく、骨を強く保つことや、転倒を防ぐことも、これからの健康にとってとても大切です。
ご自身やご家族の健康を守るためにも、腰椎圧迫骨折について正しく知り、日頃から備えていきましょう。